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Innovative Solutions of Strategy & Marketing

取引数単純化の原理

取引数単純化の原理」(取引数最小化の原理、取引数極小化の原理)とは、「不確実性プール原理」と並ぶ商業(商業者)の存在意義を説明する「卸売機能原理」のひとつです。

元来は、生産者と消費者との間に卸売業者や小売業者が入ることで、全体の取引数を減らすことが出来るという原理として提唱されました。この原理はしばしば卸売業の存在意義を説明する際に用いられますが、卸売業のみにあてはまるものではありません。小売業の存在意義のうちもっとも本質的ながら最も見落とされがちなのは、生産者が個々の消費者に直接アクセスすると膨大な取引数になってしまうために、小売店という特定の場に多数の生産者が生産物を集めることで効率的に生産物を提供することができることにあります。現代においては卸売業や小売業のみでなく、ポータルサイトや転職エージェントはじめとするあらゆる仲介ビジネス、マッチング・ビジネスを成り立たせるフレームワークとして考えることができ、今日においては極めて重要性が高い概念です。すなわち、中間業者が仲介するのは、商品物流だけでなく、情報も仲介するという部分において、この原理の今日的な重要性が高まっています。

図1.直接流通

 

生産者が4社、消費者が5人の場合、直接流通の場合の総取引数は図1のように20となります。

図2.間接流通

 

図2のように中間業者が1社入って間接流通になると、総取引数は図2のように9となります。

この場合、

直接流通の総取引数:20>間接流通の取引数:9

となり、間接流通の取引数単純化の原理が働いたことがわかります。このような場合、間接流通になることで取引にかかるコストが削減されます。

図3.中間業者の多すぎる間接流通

 

しかし、中間業者が3社になると、総取引数は図3のように27となってしまい、

直接流通の総取引数:20<間接流通の総取引数:27

と、間接流通のほうが総取引数が多くなってしまいます。

したがって、間接流通による効率性のアドバンテージを得るには、

直接流通の総取引数(D)>間接流通の総取引数(I)

とならなければなりません。

直接流通の総取引数(D)<間接流通の総取引数(I)

となってしまった場合には、中間業者は理論上、

直接流通の総取引数(D)>間接流通の総取引数(I)

となるまで削減されることになります。

つまり、中間業者の存立可能数は、間接流通による総取引数が直接流通の取引数未満になる状態を実現できる数となります。

ただし、すべての消費者がすべての中間業者と取引することは現実的にはありません。また、かならずしもすべての中間業者がすべての生産者と取引することもかぎりません。その場合には、中間業者が3社入った場合でも上の図3よりも取引数が少なくなります。ただし、それは直接流通にも同じことが言え、すべての消費者がすべての生産者と取引するわけではありません。

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VMS(垂直的マーケティング・システム)

VMS:Vertical Marketing System(垂直的マーケティング・システム、垂直流通システム)とは、流通チャネルにおける垂直方向の対立とそれに起因する多大な取引コストを最小化するために採用される一体的チャネル・システムです。チャネル間の結びつきの強さから3つの類型が考えられます。なお、コトラーらによる「ラテラル・マーケティング」と「バーティカル・マーケティング」の分類とは関係ありません。

かつて、流通における競争は水平方向、同一レイヤーのプレイヤー間での競合関係を主として行われていました。その後、完成品メーカーと小売業者を筆頭に、価格主導権をめぐって垂直方向の取引業者間での競争関係が強くなりました。

水平方向の競争

垂直方向の競争

垂直方向での競争が激しくなると取引コストが増大します。そうなると、チャネル・プレイヤーは、チャネル・リーダーのもとに組織取引(チャネルの垂直統合)や中間組織(資本統合をしない連携)を検討し、取引コストの削減を検討します。VMSは、チャネル・リーダーのもとに計画的に目的を共有した一体的な流通チャネル・システムを指します。

VMSは、チャネル・リーダー(チャネル・キャプテン)による他のチャネル・プレイヤーの統制・統合の度合いによって3つのシステムに分類されます。

VMSの類型

【企業型システム】:Corporate Systems

生産段階と流通段階が単一の資本のもとに垂直統合された流通システムを指します。アパレル業界でSPAと言われるシステムや家具のIKEAに代表される製造小売業と言われる業態が典型的に該当します。小売業が独自商品の製造を始めた場合もこのシステムと考えられます。しかし、米国の流通理論が日本に持ち込まれて以来、この企業型システムは契約型システムとの違いをめぐって論者によって解釈が異なります。自動車ディーラー、化粧品の独立資本販売会社、家電の系列販売店といった別資本ながらも特定メーカーの専売チャネルとして機能している川下小売業者とメーカーの間の関係は、資本統合はされていないながらも日本においては企業型システムに含めて考えることがあります。厳密な言葉の定義を考えれば、これらは次の契約型システムに含まれます。しかし、契約型システムが、FCやVCという特徴的なシステムとして狭義に解釈された場合には、系列小売は企業型システムに含めて考えます。

企業型システムにおいては、単一組織と同じように明確な共通目標を保有し、内部組織と同様の権限と命令による運営がなされます。このシステムを構築するには大きな資本投下が必要となります。不要な取引コストを限りなく削減できる反面、チャネルの維持・管理コストがかかるほか、変化に柔軟に対応しにくいという面もあります。

【契約型システム】Contractual Systems

この契約型システムで典型とされているのは、フランチャイズ・チェーン(FC)とボランタリー・チェーン(VC)、およびコーペラティブ・チェーン(日本ではVCに含めています)です。商品力やノウハウなど経営資源の優れた特定のチャネル・リーダーが中心となって、法人格としては独立した企業を契約によって束ねることで、共通の目的のもとに商品・ノウハウ・技術などの共有(特にFC)や共同仕入れ等による規模の経済の追求(特にVC)を図るシステムです。ただし、このシステムも、必ずしも資本的に独立しているかと言うと、そうではなく、チャネル・リーダーが他プレイヤーの資本を緩やかに保有しているケースもあります。そして、次第に資本参加を深めて行き、資本傘下におさめるケースもあります。代表的には、コンビニエンスストアのFC、ドラッグストアのVCなどが挙げられます。

FCは本部と加盟店の契約関係が厳密で、縦方向の組織関係が強く、本部による統制的色彩の濃いシステムです。VCは、卸や小売の個々のプレイヤーが寄り集まって共同本部を立ち上げるため、本部による統制は弱く、加盟店同士の横の連帯とう色彩が濃いシステムです。なお、FCには、商品・商標の提供を主体とした「プロダクト&トレードネームFC」と、商品だけでなく経営ノウハウの提供・指導を重視する「ビジネス・フォーマットFC」の2通りがあります。前者の例は、飲料メーカーとボトラー、後者の例はコンビニやファストフード・チェーンです。

【管理型システム】Administered System

チャネル・リーダーが、法人格として独立したたのチャネル・プレイヤーを厳密な契約によらずに組織化し、自らの目標に沿って管理・統制するシステムです。これは、特約店・代理店といった制度が代表的な例と考えられています。たとえば、メーカー・卸・小売の3段階で考えた場合、メーカーが卸売段階に関して、販売地域ごとに卸売業者を選定して自社の優先的販売権を与え、目標販売数量、卸売業者や小売業者に対する支援策、代金の支払い方法などについて契約します。小売開拓は卸売り業者が行います。リテール・サポートとと呼ばれる小売支援施策に関しては、卸を通さずにメーカーが直接小売に働きかける場合もあります。管理型システムは、アスクル・エージェントとよばれる文房具店とメーカーのアスクルの関係がこれに相当します。これは卸抜きのメーカーと小売の2段階の管理型システムです。

管理型システムは、他のシステムに比べて最も資本投下が少ないシステムで、VSMの中ではもっとも市場取引に近い形態です。その分、チャネル・リーダーのチャネル構成員に対する統率力は一般的に緩やかになり、目標の共通化なども限定的です。

カテゴリー:ALL, ビジネスモデル, マーケティング

取引コスト

ロナルド・コースの取引コスト経済学を継承・発展させたオリバー・ウィリアムソンは、市場取引におけるコストの存在とその影響を考察しました。

その考えに基づけば、複雑な環境下の市場取引には取引コスト(取引費用)というものが発生し、多大な取引コストを回避するために企業は取引先を自社資本に内部化した組織取引という形態へと移行します。逆にチャネルを資本傘下に持つための内部化コストが取引コストを上回るときには、市場取引という形態が採られます。

主な取引コストには、財の交換の機会探索に関する「探索(調査)コスト」、交換の条件に関する「交渉コスト」、契約を合意通りに実施するための「監視コスト」があります。

探索コスト:

どの企業が安くて良い品を提供する業者かを探し出すための情報探索コスト。

交渉コスト:

双方が取引の合意に至るまでにかかる駆け引きのために生じるコスト。

監視コスト:

合意したとおりに取引が実行されているかを監視したり、されていなければ法的手段等で対処する場合等にかかるコスト。

取引コストが発生する理由は、取引当事者の「制約された合理性」と「機会主義的行動」にあると考えられています。

「制約された合理性」とは、企業や個人は、利益の最大化を求めて最も合理的な条件での行動を採りますが、判断材料としての保有情報量と処理・予測能力には限界があるため、限られた条件の下での合理的判断になってしまうということです。複雑な環境下で情報不足や判断困難に陥ると、合理的判断をしようとするためのコストは高くなってしまいます。

「機会主義的行動」とは、企業や個人が有利な交渉・取引を進めるために、自分側に有利な情報や相手に不利な情報を相手方に隠したり、積極的に開示しようとはしなかったり、場合によっては裏切ったりする、といった行動を指します。これは、相手方の制約された合理性にも繋がります。

「制約された合理性」と「機会主義的行動」が高まるような複雑な環境下では、探索・交渉・監視といった取引コストがより多くかかってしまいます。そうなると、取引主体の双方にとって大きな負担となってしまいます。そのような複雑な状況下においては、企業は取引コスト削減のため、市場取引から組織取引へと移行することが考えられます。組織取引への移行とは、取引相手企業を自社で保有する、つまり垂直統合して流通取引相手を自社資本下・自社系列下に収めるということです。これは内部化とも呼ばれます。

ところが、この内部化にもコストがかかります。たとえば、メーカーが自前で流通シャネルを保有するには、物流倉庫や店舗を建設したり、既存の流通業者を買収したりするのに必要な投資コストと、それらを継続的に維持していくための管理コストがかかります。これらを内部化コストと言います。

理論上は、取引コストと内部化コストを比較して、取引コストのほうが大きい場合には組織取引が、内部化コストのほうが大きい場合には市場取引が選択されます。

しかし、取引形態は純粋に市場取引と内部取引に分けられるわけではなく、その中間的形態として、中間組織(中間取引)という取引形態があります。この中間組織には様々な形態があります。以下の図のように市場取引的な取引から組織取引的な取引へのスペクトラムを考えることができます。

取引形態のスペクトラム

純粋な市場取引においては、その都度1回性という前提の下の交渉・取引が行われます。しかし、事業を継続していくに当たって、チャネル間での取引は反復性を帯びてきます。

反復取引は、単に経済的・コスト的かつ都度1回的な関係ではなく、複数回の取引をある程度前提とした人間関係の入り込む取引形態です。過去の取引の情報・関係性によって、スムーズな取引が可能となります。

長期取引は、それが長期間にわたって継続することを前提とした1回性ではない契約を交わしての取引関係です。これによって取引に伴う不確実性を減らすことができます。

パートナーシップは、取引主体の相互依存度が大幅に引き上げられます。買い手は少数の特定の取引先に仕入れを集中させることによって、安定的な入手が難しい財の優先的供給を実現したり、付帯サービスを確保したり、まとめ買いによる数量割引などの柔軟な対応を実現したりすることが可能です。もちろん、サプライヤーも長期安定大口取引が可能となることは大きなメリットです。それだけでなく、双方の業務の質の向上や生産・供給効率の向上などに向けて協力することもあります。

戦略提携は、取引主体が別々の企業でありながら、長期的な取引関係を前提に共同の目標にむけてプロジェクトを組んで、商品開発やプロセス・イノベーション等において協働で取り組みます。チャネルの異なるプレイヤー同士が異質の経営資源を供給し合うところに新たな価値が生まれます。

組織取引は、企業が他のチャネル・プレーヤーを資本統合して傘下に収めたり、自社で自前の流通チャネルは開発したりすることで、取引コストの発生を避ける取引形態です。

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マーケット・イノベーション

マーケット・イノベーション(市場イノベーション)は、Innovative Studio Japanが考えるイノベーションの概念です。

イノベーションは、日本語で言えば「革新」ですが、1958年の『中小企業白書』で「技術革新」という表記が用いられて以来、しばしば「技術」に特化した革新と誤って用いられています。

企業は、製品やサービスといった「価値」を市場(買い手=消費者や購入業者)に提供しています。技術とは、製品を作る際の一要素です。技術を革新したとしても製品が革新される保証はなく、製品の機能を革新したとしても価値が革新される保証はありません。最終的には市場に受け入れられる「価値」を革新できるか否かが重要です。価値を革新することは、すなわち市場を革新することに繋がります。なぜなら、価値が有るか無いかは市場で受け入れられるか否かで判断されるものだからです。価値と市場は表裏一体の関係にあると言えます。それをひとつの言葉で言い表すと、「市場価値」となります。市場が受け入れるに値する価値です。そのように考えたとき、技術の革新の最終的な目標は、価値を飛躍的に向上させ、市場を開拓することです。すなわち、「技術革新→価値革新=市場革新」という流れになります。

ところで、価値革新を英訳すれば「バリュー・イノベーション」となります。このバリュー・イノベーションという言葉は、W.チャン・キム&レネ・モボルニュが著書『ブルー・オーシャン戦略』において独自の意味で用いて以来、彼らのコンテクストでの意味がなじんでいます。その独自の意味とは、「差別化と低コスト化を同時に実現する価値の革新」という意味です。したがって、価値の革新ではあっても、彼らの文脈では、独自性があっても高コストであってはならない、という条件がつけられています。これに対し、「差別化と低コスト化」にとらわれず、とにかく最終的に買い手の感じる価値が飛躍的に高まるようなイノベーションを、Innovative Studio Japanでは、「マーケット・イノベーション」と呼びます。マーケット・イノベーションとは、キム&モボルニュの定義とは違い、広義の「価値革新」と同義です。キム&モボルニュの概念と区別するために用いる用語です。価値と市場は表裏一体の関係にあるため、価値を革新することは、すなわち市場を革新することになるため、「バリュー」を「マーケット」と呼び替えました。

さて、上述のようにイノベーションについて考えたときに、イノベーションを「狭いイノベーション(Small Scope Innovation)」、「中くらいのイノベーション(Middle Scope Innovation)」、「広いイノベーション(Large Scope Innovation)」に分けることができます。そして、それらすべてを包摂する概念が「ビジネス・イノベーション(Business Innovation)」です。ビジネス・イノベーションは、一般的なイノベーションがしばしば「技術」に特化したイメージを抱きやすいことに鑑み、技術的な革新に限らず広く「革新」を指す言葉として用います。その主な構成は以下の通りです。

【Business Innovation】:ビジネス・イノベーション

Small Scope Innovation

  • 技術イノベーション:technological innovation
  • 製品イノベーション:product innovation
  • (サービス・イノベーション:service innovation)

Middle Scope Innovation

  • 生産プロセス・イノベーション:production process innovation
  • ビジネス・プロセス・イノベーション:business process innovation
  • 収益モデル・課金システム イノベーション:revenue stream innovation / charge system innovation

Large Scope Innovation

ただし、Small Scale InnovationとLarge Scale Innovationは排他関係にあるのではなく、Large Scale InnovationがSmall Scale Innovationのいくつかを包含する関係にあります。

たとえば、収益モデル・イノベーションはビジネスモデル・イノベーションのひとつの構成要素と言えますし、製品イノベーションやサービス・イノベーションはバリュー・イノベーション/マーケット・イノベーションの構成要素となり得ます。

また、上に記した以外にもイノベーションのバリエーションは考えられます。特にMiddle Scope Innovationは、「ビジネスモデルの構成要素」として考えると幅広く考えられます。

カテゴリー:ALL, イノベーション, ストラテジー, マーケティング

スケールフリー・ネットワーク

スケールフリー・ネットワークとは、1999年にアルバート=ラズロ・バラバシとレカ・アルバートが発見した複雑ネットワークのモデルのひとつで、BAモデルとも呼ばれます。WSモデルと並んで、現在の複雑ネットワークの中心的なモデルです。

スケールフリー・ネットワークの特徴は、主に以下の通りです。

1.ハブの存在

突出してリンクの多いノードが存在することです。このようなリンクをハブと呼びます。

少数のノードが繋がっているリンク数が突出しているため、横軸にリンクの数、縦軸にノードの数をプロットした場合、ロングテールの形のグラフが出来ます。

2.成長ないし新陳代謝

インターネットのウェブのように成長する現象を扱うことが出来、また航空路線のように成長と共に消えてゆく場合もこのモデルで説明できます。

3.優先的選択

ネットワークが成長し、新しいリンクが接続するノードを選択する際に、多くのリンクを持つ強いノードが選択されやすいということが挙げられます。

したがって、WSモデルの平等主義とは性質が異なります。

4.スモールワールドではあるが、6次より隔たり次数が大きい

スケールフリー・ネットワーク

スケールフリー・ネットワーク(BAモデル)

カテゴリー:ALL, ネットワーク分析, マーケティング

スモールワールド・ネットワーク

スモールワールド・ネットワークは、複雑ネットワーク分析におけるネットワークのひとつの考え方およびモデルです。

広義には、ノードとリンクを結んだネットワーク組織が「6次の隔たり」に象徴されるような短い隔たりで繋がっているネットワーク構成を指します。

狭義には、ダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツが1998年に発表したスモールワールド・モデル=WSモデルを指します。ワッツとストロガッツはそれまで考えられていたランダム・グラフの非現実性を克服し、クラスターを考慮に入れたモデルを確立しました。WSモデルの特徴は、6次程度の少ない隔たりに加えて、多数のクラスターを持つネットワークです。突出して多くのリンクを持つノードはないため、“平等主義的”ネットワークとも言われます。

スモールワールド・ネットワーク

スモールワールド・ネットワーク(WSモデル)

カテゴリー:ALL, クリエイティビティ, ネットワーク分析, マーケティング

6次の隔たり

6次の隔たり(Six Degrees of Separation)とは、社会的ネットワーク理論(分析)で証明されている法則のひとつで、世界中の任意の誰かとの繋がりには平均で約6人の隔たりがあるというものです。逆に言えば、平均6人の隔たりを介せば、世界中の誰とでも繋がっているという「スモールワールド・ネットワーク」の象徴的な事例です。

この法則は、イェール大学の社会心理学者であったスタンレー・ミルグラムが1967年に実験によって実証しました。実験の内容は、ランダムに選んだ人たちに、一人の特定の人物「ボストンに住む特定の人物(○○という名前の株式仲介人)」にたどり着くよう、手紙をリレーしてもうらうというものでした。届いた手紙は平均約6人の隔たりで目標人物まで届きました。しかも、隔たり人数の分散も小さく、多くが一桁の隔たりでした。 ミルグラムは、1970年に条件をさらに厳しく設定して追試しました(ロサンゼルスからニューヨーク、白人から黒人)。そしてやはり同様の結果を得ました。

このような「世界は小さい」という認識は、人々の肌感覚で昔から言われており、それをミルグラムが実証した結果となりました。

この発見は今日でも強力な影響力を持っており、また社会的ネットワーク理論の後の発展に大きく寄与しました。

6次の隔たり

6次の隔たり

カテゴリー:ALL, ネットワーク分析, マーケティング

ネットワーク分析

ネットワーク分析(ネットワーク理論、複雑ネットワーク、ネットワーク科学)は、物事の関係性を“ネットワーク”という観点で分析する学問分野で、「複雑性の理論」「複雑系」と言われる科学の一分野です。要素(ノード)と要素(ノード)を線(リンク)で結んだ網の目の繋がりを数学的に分析します。

脳の神経細胞を始めとした生物学的な細胞のネットワーク、コオロギの鳴き声のネットワーク、ホタルの光のネットワーク、電力網のネットワーク、ウェブサイトのネットワーク、動植物の食物連鎖のネットワークなど、様々なネットワークの構造が研究されています。

また、個人や集団(企業やグループなど)の社会的関係性のネットワーク分析を社会的ネットワーク分析(ソーシャル・ネットワーク分析)と言います。

もともとは、18世紀前半に開拓されたレオンハルト・オイラーによるグラフ理論に端緒を発し、1959年のポール・エルデシュ&アルフレッド・レーニーによるランダム・グラフの発見によって、数学分野での素地が形成されました。

そして1998年、ランダム・グラフの非現実性を克服するスモールワールド・ネットワーク(WSモデル)が、ダンカン・ワッツ&スティーブン・ストロガッツによって提唱されました。これはランダム・グラフでは扱えなかった「クラスター化」という現実的な現象を数学的に説明するモデルです。

さらに、1999年にアルバート=ラズロ・バラバシ&レカ・アルバートがスケールフリー・ネットワーク(BAモデル)を発見しました。これは、一部のノードが他の平均に比べて圧倒的多数のリンクを持つという“ハブ”の存在するネットワークを説明するモデルです。このネットワーク・モデルは、インターネットのネットワークが典型的な例です。

スモールワールド・ネットワーク

スモールワールド・ネットワーク

スケールフリー・ネットワーク

スケールフリー・ネットワーク

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破壊的イノベーション

「破壊的イノベーション」(Disrupthive Innovation)とは、C.M.クリステンセンが『イノベーションのジレンマ』原題:“The Innovator’s Dilemma”で最初に提示し、続く『イノベーションへの解』、『明日は誰のものか』の3部作を通して詳細に明らかにしたイノベーション・モデルです。

【持続的イノベーション】 Sustaining Innovation

クリステンセンによれば、既存の顧客の要望に忠実に改良を組み重ねていくのが“優良企業の”イノベーションの基本方針であるが、そうした要望拝聴と製品改良を繰り返していくと、いつしか製品の性能のほうが顧客の望む性能レベルを超えてしまい、高コスト・高価格・過剰スペックの製品が出来上がってまうと言います。顧客の要望を忠実に拝聴した結果であるのに、顧客の要望をオーバーしてしまうという逆説的な事態を、クリステンセンは「オーバーシューティング(過剰解決)」と呼びました。このように、消費者や顧客が望む性能進化のスピードよりも技術進化のスピードが常に上回ると考えられています。このような既存の価値観の元での直線的な改良によるイノベーションを「持続的イノベーション」と呼びます。

【破壊的イノベーション】 Disruptive Innovation

「持続的イノベーション」の対極的な概念が「破壊的イノベーション」です。「破壊的イノベーション」には2種類あるとされています。ただし、クリステンセンは、2種類のイノベーションが組み合わさった破壊的イノベーションのタイプが多いと指摘しています。

<破壊的イノベーションの2類型>

【ローエンド型破壊的イノベーション】

ローエンド型破壊は、既存市場において大きなシェアを持ちながらもオーバーシューティングに陥った優良企業の高価格・複雑な製品に対し、より低価格や簡便性を実現する“破壊的技術”によって、これまで空白になりつつあったローエンド市場に参入します。そして、ローエンド市場で圧倒的なシェアを獲得する間に改良を重ね、性能的にも上位市場の顧客のニーズを満たすレベルになりハイエンド市場へも少しずつ進出し、次第に旧来のプレイヤーの製品はより上位市場へと逃げるように対象市場を狭めていき、駆逐されていきます。なお、“破壊的技術”は、必ずしも高度な技術ではなく、むしろ単純化・小型化などをもたらす技術的革新が多いと考えられています。

【新市場型破壊的イノベーション】

新市場型破壊は、新たな破壊的技術を用いた製品を、既存市場の一部としてのローエンド市場ではなく、新しい価値軸に基づいた、これまでと異なる新規市場に参入します。クリステンセンは、これを「無消費」すなわち消費のなかった状況に対抗するイノベーションであるとしています。たとえば、ソニーのトランジスタラジオやウォークマンは、小型化という技術的イノベーションを新しい価値の軸で市場投入したことにより新しい市場を創造しました。

また、川上のサプライヤーや川下の顧客やエンドユーザーまでの同一製品をつなぐネットワークを「バリューネットワーク」と呼びます。このバリューネットワークは、ひとつの市場ニーズに向けての“価値共同体”であり、同じ目的を共有するネットワークです。既存の“優良企業”は、市場規模の大きい既存事業のバリューネットワークを捨てて新しいバリューネットワークを選択することはなかなかできません。しかし、新市場型破壊のプレイヤーは、破壊的技術を生かす新しいバリューネットワークを開拓し、そこにこれまで消費されていなかった新しい市場を創造します。クリステンセンは、「この新しいバリューネットワークは、新製品が従来よりシンプルで形態性に優れ、製品コストが低いために実現する」と述べています。そして、既存市場での上位企業が新市場の旨みに気づき、既存のバリューネットワークから飛び出して新しいバリューネットワークに基づく新市場に参入しようとしたときには、すでに先に進出していた破壊的イノベーターに大きなアドバンテージをつけられてしまいます。

【イノベーションのジレンマ

このように、既存市場でハイエンド市場へ向けて「持続的イノベーション」を繰り返していくイノベーターが、破壊的技術によってローエンド型破壊や新市場型破壊をもたらす破壊的イノベーターに駆逐されてしまう現象を「イノベーターのジレンマ(邦訳ではイノベーションのジレンマ)」と言います。

2つの破壊的イノベーションと持続的イノベーション “イノベーションのジレンマ”

2つの破壊的イノベーションと持続的イノベーション “イノベーションのジレンマ”

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PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント/製品ポートフォリオ・マネジメント/事業ポートフォリオ・マネジメント)は、ボストン・コンサルティング・グループが開発した事業投資意思決定のためのフレームワークです。

複数の製品・事業を展開する企業がそれぞれの製品・事業を全社的にマネジメントし、企業全体としてキャッシュの創出とそのキャッシュの投資を適切に管理すると共に、事業間の市場成長率&シェアの違いの観点から各事業の新陳代謝を総合的に全社視点で管理しようとするものです。

フレームワークとしては、縦軸を「市場成長率」、横軸を「相対的マーケットシェア」とし、縦横2×2の4象限(セル)のマトリクスを構成し、その中に各事業の規模を円の大きさで表してをプロットします。したがって、「市場成長率」「相対的マーケットシェア」「事業規模」の3次元を表現するいわゆるバブルチャートとなります。

<軸の作成>

縦軸の「市場成長率」は、一般的に用いられている年間の市場規模の成長率を用います。
横軸の「相対的マーケットシェア」は、トップシェア企業に対する自社のシェアの割合を用います。

  • 例えば、トップシェア企業が10%、自社が8%の場合、「相対的マーケットシェア」は0.8となります。

自社がトップシェアの場合は、シェア2位の企業に対する自社のシェアを用います。

  • 例えば、当該事業の自社のシェアが10%で業界1位、2位企業が8%の場合、「相対的マーケットシェア」は1.25となります。

<軸とキャッシュの関係性>

  • 縦軸の「市場成長率」の高-低は、キャッシュ・アウト(資金流出)の大-小をもたらします。
  • 横軸の「相対的マーケットシェアの高-低は、キャッシュ・インの大-小をもたらします。
プロダクト(事業)・ポートフォリオ・マネジメント

プロダクト(事業)・ポートフォリオ・マネジメント

<セルの特徴>

【金のなる木】

成長率は低く、相対シェアは高い事業です。

市場は成熟化していて、これから高成長が見込めない状況下で、シェアは高い事業です。高成長が見込めない以上、新規に多額の投資はせずに現在あずかれる多大な利益を享受する方針を採ります。4つのセルの中で1番の稼ぎ頭です。ここで得たキャッシュを他のセルの事業へ投資し、新規事業の成長を図ります。

【花形】

成長率、相対シェア、共に高い事業です。

市場は成長途上であるため最大市場規模には達していませんが、相対的マーケットシェアが高いため、「金のなる木」に次いで大きなキャッシュ流入を得ることができます。しかし、今後継続的に市場を拡大するために資金流出も大きくなるため、トータルでのキャッシュフローは「金のなる木」ほどは望めません。継続的に投資を行い、「金のなる木」に育てていきます。

【問題児】

市場成長率は高いものの、相対シェアが低い事業です。

キャッシュ・インが少ないのにキャッシュ・アウトが大きいという問題を抱えています。早めに手を打って積極的投資によって花形に育て上げる戦略を採るか、撤退を検討します。積極的な施策を講じるのが遅れると、いつまでも資金流出が続いてしまい、さらには負け犬になってしまいます。

【負け犬】

市場成長率、相対シェアともに低い事業です。変動費以上の一定の利益を稼げる状況であれば新規投資をせずに収穫戦略を採用するか、それでなければ撤退や売却をします。

<PPMの留意点>

PPMは有用なフレームワークですが、以下のような限界も指摘されており、運用する際には留意することが必要となります。

  • 成熟市場においても画期的なイノベーションによってさらに市場が成長することがある。
  • 撤退決定事業の従業員のモラールの低下する恐れがあり、またそれによって衰退が早期化されてしまう可能性がある。
  • 事業間シナジー効果が考慮されていない。
  • シェアを過度に追求せずに高利益を追求する差別化戦略の優位性が考慮されていない。
  • キャッシュの内部調達のみで事業投資の意思決定を行おうとしており、外部資金調達の存在が考慮されていない。

<理論的背景>

PPMの理論的背景には、経験曲線効果プロダクト・ライフサイクル理論の考え方があります。

カテゴリー:ALL, ストラテジー, マーケティング

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