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Innovative Solutions of Strategy & Marketing

PEST分析

PEST分析は、事業の外部環境分析、特にマクロ環境分析を行う際のフレームワークです。

PESTというのは、Politics(政治的要因)、Economics(経済的要因)、Society(社会的要因)、Tecnology(技術的要因)のそれぞれの頭文字を取ったもので、事業に影響するこれらの要因を分析することがPEST分析です。

この外部環境分析は、SWOT分析において、Opportunities(機会)とThreats(脅威)を見出すための分析に該当します。したがって、PEST分析はしばしばSWOT分析の一部として行われるます。同じくSWOT分析の外部環境分析として有効なフレームワークに5フォース分析があります。5フォース分析が業界の競争相手や取引相手など自社に直接的関わる対象を分析するのに対し、PEST分析はよりマクロな環境要因を分析の対象とします。

言い換えれば、直接的な競争環境における対象をMECE(モレなくダブリなく)に分けたものが5フォース(5つの競争要因)で、直接的な競争対象よりも広い範囲のマクロ環境という目に見えない対象をMECEに分けたものがPESTと言えます。

SWOT分析において、内部環境というのは自社内の問題なので自助努力で改善可能です。5フォース(5つの競争要因)は、取引先や顧客に直接働きかけることは出来るという意味で努力で状況改善は可能ですが、相手がある問題ですので一筋縄には行きません。PESTになると、個々の相手も見えないマクロな要因が相手なので、自社1社による働きかけや努力のみではどうすることもできない「所与の条件」に近い存在です。それでも、業界団体を通じた政治への働きかけが規制緩和などの法律変更を促すことや、自社による流行の喚起などの可能性はまったくないわけではありませんが、短期的な施策にはなりえません。

以下に、PEST要因となる項目を例示します。

【Politics:政治的要因】

  • 法律(規制、税制度、補助金制度など)
  • 政府の動向、大きな政治のトレンド
  • 国際政治関係(貿易・関税問題、政情不安地域の影響、資源問題など)

【Economics:経済的要因】

  • 産業構造の変化
  • GDPの趨勢
  • 景気、物価
  • 金利、為替、株価
  • 個人消費・個人所得・家計貯蓄率
  • その他各種経済指標

【Society:社会的要因】

  • 人口構成、外国人の移入
  • ライフスタイル、文化・サブカルチャー、流行、価値観
  • 教育
  • 環境問題
  • 社会問題(食品偽装、海賊品流通、その他事件など)

【Technology:技術】

  • 技術革新と技術トレンド
  • 基礎研究の動向
  • 特許の動向
  • 自社に直接関連する代替可能性のある技術の動向

Society(社会的要因)に含まれる「環境問題」に関しては、“environment”として4つの要因とは独立させ、PESTeと称する場合もあります。

カテゴリー:ALL, ストラテジー

バリューチェーン

バリューチェーン(価値連鎖)とは、ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーターが提唱したフレームワークで、事業活動を構成要素に分解してその役割と流れに沿って体系的化するものです。このバリューチェーンを使って企業活動を分析することをバリューチェーン分析と言います。業界のKSF(Key Success Factor:重要成功要因)を特定したり、自社の事業活動のボトルネックを特定したりする上で優れたフレームワークです。

バリューチェーンは業界によって様々な構成が考えられます。このバリューチェーンは、主活動と支援活動から構成されています。日常用語的には、主活動のみを指してバリューチェーンと呼ぶこともしばしばあります。

支援活動は、事業横断的かつ部門横断的に行われる全社的な活動を指します。

主活動は、業界によって実に様々な構成が考えられますが、製品の企画・開発から始まり、販売・アフターフォローにいたる事業活動の連鎖の組み合わせです。一般的にバリューチェーン分析は製造業において当てはまりがよく、多用されていますが、店舗を持つ業界やサービス業務を行う事業においても適用することは可能です。

従来バリューチェーンは、企業内部の活動の連鎖と考えることが多くありましたが、現在では外部との連携も含めてバリューチェーンとして考えることもしばしばあります。また、そのような広義のバリューチェーンは、サプライチェーンとほぼ同じような概念と考えることができます。ただし、サプライチェーンは、物流に重きが置かれているので、モノの流れを伴わない業種においては、広義のバリューチェーンとサプライチェーンはイコールになりません。

バリューチェーンの例

カテゴリー:ALL, ストラテジー, ビジネスモデル

マーケット・イノベーション

マーケット・イノベーション(市場イノベーション)は、Innovative Studio Japanが考えるイノベーションの概念です。

イノベーションは、日本語で言えば「革新」ですが、1958年の『中小企業白書』で「技術革新」という表記が用いられて以来、しばしば「技術」に特化した革新と誤って用いられています。

企業は、製品やサービスといった「価値」を市場(買い手=消費者や購入業者)に提供しています。技術とは、製品を作る際の一要素です。技術を革新したとしても製品が革新される保証はなく、製品の機能を革新したとしても価値が革新される保証はありません。最終的には市場に受け入れられる「価値」を革新できるか否かが重要です。価値を革新することは、すなわち市場を革新することに繋がります。なぜなら、価値が有るか無いかは市場で受け入れられるか否かで判断されるものだからです。価値と市場は表裏一体の関係にあると言えます。それをひとつの言葉で言い表すと、「市場価値」となります。市場が受け入れるに値する価値です。そのように考えたとき、技術の革新の最終的な目標は、価値を飛躍的に向上させ、市場を開拓することです。すなわち、「技術革新→価値革新=市場革新」という流れになります。

ところで、価値革新を英訳すれば「バリュー・イノベーション」となります。このバリュー・イノベーションという言葉は、W.チャン・キム&レネ・モボルニュが著書『ブルー・オーシャン戦略』において独自の意味で用いて以来、彼らのコンテクストでの意味がなじんでいます。その独自の意味とは、「差別化と低コスト化を同時に実現する価値の革新」という意味です。したがって、価値の革新ではあっても、彼らの文脈では、独自性があっても高コストであってはならない、という条件がつけられています。これに対し、「差別化と低コスト化」にとらわれず、とにかく最終的に買い手の感じる価値が飛躍的に高まるようなイノベーションを、Innovative Studio Japanでは、「マーケット・イノベーション」と呼びます。マーケット・イノベーションとは、キム&モボルニュの定義とは違い、広義の「価値革新」と同義です。キム&モボルニュの概念と区別するために用いる用語です。価値と市場は表裏一体の関係にあるため、価値を革新することは、すなわち市場を革新することになるため、「バリュー」を「マーケット」と呼び替えました。

さて、上述のようにイノベーションについて考えたときに、イノベーションを「狭いイノベーション(Small Scope Innovation)」、「中くらいのイノベーション(Middle Scope Innovation)」、「広いイノベーション(Large Scope Innovation)」に分けることができます。そして、それらすべてを包摂する概念が「ビジネス・イノベーション(Business Innovation)」です。ビジネス・イノベーションは、一般的なイノベーションがしばしば「技術」に特化したイメージを抱きやすいことに鑑み、技術的な革新に限らず広く「革新」を指す言葉として用います。その主な構成は以下の通りです。

【Business Innovation】:ビジネス・イノベーション

Small Scope Innovation

  • 技術イノベーション:technological innovation
  • 製品イノベーション:product innovation
  • (サービス・イノベーション:service innovation)

Middle Scope Innovation

  • 生産プロセス・イノベーション:production process innovation
  • ビジネス・プロセス・イノベーション:business process innovation
  • 収益モデル・課金システム イノベーション:revenue stream innovation / charge system innovation

Large Scope Innovation

ただし、Small Scale InnovationとLarge Scale Innovationは排他関係にあるのではなく、Large Scale InnovationがSmall Scale Innovationのいくつかを包含する関係にあります。

たとえば、収益モデル・イノベーションはビジネスモデル・イノベーションのひとつの構成要素と言えますし、製品イノベーションやサービス・イノベーションはバリュー・イノベーション/マーケット・イノベーションの構成要素となり得ます。

また、上に記した以外にもイノベーションのバリエーションは考えられます。特にMiddle Scope Innovationは、「ビジネスモデルの構成要素」として考えると幅広く考えられます。

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破壊的イノベーション

「破壊的イノベーション」(Disrupthive Innovation)とは、C.M.クリステンセンが『イノベーションのジレンマ』原題:“The Innovator’s Dilemma”で最初に提示し、続く『イノベーションへの解』、『明日は誰のものか』の3部作を通して詳細に明らかにしたイノベーション・モデルです。

【持続的イノベーション】 Sustaining Innovation

クリステンセンによれば、既存の顧客の要望に忠実に改良を組み重ねていくのが“優良企業の”イノベーションの基本方針であるが、そうした要望拝聴と製品改良を繰り返していくと、いつしか製品の性能のほうが顧客の望む性能レベルを超えてしまい、高コスト・高価格・過剰スペックの製品が出来上がってまうと言います。顧客の要望を忠実に拝聴した結果であるのに、顧客の要望をオーバーしてしまうという逆説的な事態を、クリステンセンは「オーバーシューティング(過剰解決)」と呼びました。このように、消費者や顧客が望む性能進化のスピードよりも技術進化のスピードが常に上回ると考えられています。このような既存の価値観の元での直線的な改良によるイノベーションを「持続的イノベーション」と呼びます。

【破壊的イノベーション】 Disruptive Innovation

「持続的イノベーション」の対極的な概念が「破壊的イノベーション」です。「破壊的イノベーション」には2種類あるとされています。ただし、クリステンセンは、2種類のイノベーションが組み合わさった破壊的イノベーションのタイプが多いと指摘しています。

<破壊的イノベーションの2類型>

【ローエンド型破壊的イノベーション】

ローエンド型破壊は、既存市場において大きなシェアを持ちながらもオーバーシューティングに陥った優良企業の高価格・複雑な製品に対し、より低価格や簡便性を実現する“破壊的技術”によって、これまで空白になりつつあったローエンド市場に参入します。そして、ローエンド市場で圧倒的なシェアを獲得する間に改良を重ね、性能的にも上位市場の顧客のニーズを満たすレベルになりハイエンド市場へも少しずつ進出し、次第に旧来のプレイヤーの製品はより上位市場へと逃げるように対象市場を狭めていき、駆逐されていきます。なお、“破壊的技術”は、必ずしも高度な技術ではなく、むしろ単純化・小型化などをもたらす技術的革新が多いと考えられています。

【新市場型破壊的イノベーション】

新市場型破壊は、新たな破壊的技術を用いた製品を、既存市場の一部としてのローエンド市場ではなく、新しい価値軸に基づいた、これまでと異なる新規市場に参入します。クリステンセンは、これを「無消費」すなわち消費のなかった状況に対抗するイノベーションであるとしています。たとえば、ソニーのトランジスタラジオやウォークマンは、小型化という技術的イノベーションを新しい価値の軸で市場投入したことにより新しい市場を創造しました。

また、川上のサプライヤーや川下の顧客やエンドユーザーまでの同一製品をつなぐネットワークを「バリューネットワーク」と呼びます。このバリューネットワークは、ひとつの市場ニーズに向けての“価値共同体”であり、同じ目的を共有するネットワークです。既存の“優良企業”は、市場規模の大きい既存事業のバリューネットワークを捨てて新しいバリューネットワークを選択することはなかなかできません。しかし、新市場型破壊のプレイヤーは、破壊的技術を生かす新しいバリューネットワークを開拓し、そこにこれまで消費されていなかった新しい市場を創造します。クリステンセンは、「この新しいバリューネットワークは、新製品が従来よりシンプルで形態性に優れ、製品コストが低いために実現する」と述べています。そして、既存市場での上位企業が新市場の旨みに気づき、既存のバリューネットワークから飛び出して新しいバリューネットワークに基づく新市場に参入しようとしたときには、すでに先に進出していた破壊的イノベーターに大きなアドバンテージをつけられてしまいます。

【イノベーションのジレンマ

このように、既存市場でハイエンド市場へ向けて「持続的イノベーション」を繰り返していくイノベーターが、破壊的技術によってローエンド型破壊や新市場型破壊をもたらす破壊的イノベーターに駆逐されてしまう現象を「イノベーターのジレンマ(邦訳ではイノベーションのジレンマ)」と言います。

2つの破壊的イノベーションと持続的イノベーション “イノベーションのジレンマ”

2つの破壊的イノベーションと持続的イノベーション “イノベーションのジレンマ”

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PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント/製品ポートフォリオ・マネジメント/事業ポートフォリオ・マネジメント)は、ボストン・コンサルティング・グループが開発した事業投資意思決定のためのフレームワークです。

複数の製品・事業を展開する企業がそれぞれの製品・事業を全社的にマネジメントし、企業全体としてキャッシュの創出とそのキャッシュの投資を適切に管理すると共に、事業間の市場成長率&シェアの違いの観点から各事業の新陳代謝を総合的に全社視点で管理しようとするものです。

フレームワークとしては、縦軸を「市場成長率」、横軸を「相対的マーケットシェア」とし、縦横2×2の4象限(セル)のマトリクスを構成し、その中に各事業の規模を円の大きさで表してをプロットします。したがって、「市場成長率」「相対的マーケットシェア」「事業規模」の3次元を表現するいわゆるバブルチャートとなります。

<軸の作成>

縦軸の「市場成長率」は、一般的に用いられている年間の市場規模の成長率を用います。
横軸の「相対的マーケットシェア」は、トップシェア企業に対する自社のシェアの割合を用います。

  • 例えば、トップシェア企業が10%、自社が8%の場合、「相対的マーケットシェア」は0.8となります。

自社がトップシェアの場合は、シェア2位の企業に対する自社のシェアを用います。

  • 例えば、当該事業の自社のシェアが10%で業界1位、2位企業が8%の場合、「相対的マーケットシェア」は1.25となります。

<軸とキャッシュの関係性>

  • 縦軸の「市場成長率」の高-低は、キャッシュ・アウト(資金流出)の大-小をもたらします。
  • 横軸の「相対的マーケットシェアの高-低は、キャッシュ・インの大-小をもたらします。
プロダクト(事業)・ポートフォリオ・マネジメント

プロダクト(事業)・ポートフォリオ・マネジメント

<セルの特徴>

【金のなる木】

成長率は低く、相対シェアは高い事業です。

市場は成熟化していて、これから高成長が見込めない状況下で、シェアは高い事業です。高成長が見込めない以上、新規に多額の投資はせずに現在あずかれる多大な利益を享受する方針を採ります。4つのセルの中で1番の稼ぎ頭です。ここで得たキャッシュを他のセルの事業へ投資し、新規事業の成長を図ります。

【花形】

成長率、相対シェア、共に高い事業です。

市場は成長途上であるため最大市場規模には達していませんが、相対的マーケットシェアが高いため、「金のなる木」に次いで大きなキャッシュ流入を得ることができます。しかし、今後継続的に市場を拡大するために資金流出も大きくなるため、トータルでのキャッシュフローは「金のなる木」ほどは望めません。継続的に投資を行い、「金のなる木」に育てていきます。

【問題児】

市場成長率は高いものの、相対シェアが低い事業です。

キャッシュ・インが少ないのにキャッシュ・アウトが大きいという問題を抱えています。早めに手を打って積極的投資によって花形に育て上げる戦略を採るか、撤退を検討します。積極的な施策を講じるのが遅れると、いつまでも資金流出が続いてしまい、さらには負け犬になってしまいます。

【負け犬】

市場成長率、相対シェアともに低い事業です。変動費以上の一定の利益を稼げる状況であれば新規投資をせずに収穫戦略を採用するか、それでなければ撤退や売却をします。

<PPMの留意点>

PPMは有用なフレームワークですが、以下のような限界も指摘されており、運用する際には留意することが必要となります。

  • 成熟市場においても画期的なイノベーションによってさらに市場が成長することがある。
  • 撤退決定事業の従業員のモラールの低下する恐れがあり、またそれによって衰退が早期化されてしまう可能性がある。
  • 事業間シナジー効果が考慮されていない。
  • シェアを過度に追求せずに高利益を追求する差別化戦略の優位性が考慮されていない。
  • キャッシュの内部調達のみで事業投資の意思決定を行おうとしており、外部資金調達の存在が考慮されていない。

<理論的背景>

PPMの理論的背景には、経験曲線効果プロダクト・ライフサイクル理論の考え方があります。

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経験曲線効果

経験曲線効果(エクスペリエンス・カーブ:経験曲線、経験効果)とは、1960年代にボストン・コンサルティング・グループが発見した法則で、同一製品において「累積生産量が増加するにつれて、単位当たり生産コストが一定の割合で低下していく」というものです。

一般的に、累積生産量が2倍に増えると、単位当たり生産コストは20~30%低下すると言われています。別の言い方をすれば、累積生産量が2倍になると、単位当たり生産コストが80~70%になります。

経験曲線

経験曲線

  • 同じ製品を同じ時期に生産を始めた2つの企業があるとすると、1年後の単位当たり生産コストは、シェアの大きな企業のほうが低くなります。これは、同一時間においては、シェアの大きな企業のほうが累積生産量において勝るためです。これは、「規模の経済」と並んで、業界リーダー企業のコスト・リーダーシップ戦略を正当化するひとつの重要な根拠となります。
  • ある時点でシェアが均衡している2つの企業があるとすると、早い時期に参入した企業のほうが一般的に単位当たり生産コストが低くなります。これは、現時点での生産量は2社とも変わらなくても、早くから参入している企業のほうが累積生産量において勝るためです。これは、「スイッチング・コスト」などと並んで、1st Mover Advantage(ファースト・ムーバー・アドバンテージ:先行者の利益)を正当化するひとつの重要な根拠となります。

経験曲線効果の理由は複数考えられており、代表的なものは以下の通りです。

  • 学習による組織・人材の能率向上
  • 生産プロセス、購買、ロジスティクスの改善
  • 作業の標準化/職務の専門家・分業化
  • 製品の標準化/設計の改善

この経験曲線効果は、プロダクト・ライフサイクルと並んで、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の根拠となる概念です。

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3つの基本戦略

3つの基本戦略は、M.E.ポーターが提唱した5フォース・モデルと並ぶ代表的な戦略フレームワークです。

ポーターによると、5フォース・モデルで市場構成要員の構造を明らかにした後に、3つの基本戦略のうちからひとつを自社の戦略として採用することで競争優位の確立を目指します。

3つの戦略は、縦軸を「競争の範囲(もしくは、ターゲットの幅)が広いか狭いか」、横軸を「競争優位の源泉としての低コストか差別化(独自性)か」として設定した2軸のマトリクスで構成されます。

<3つの基本戦略>

【コスト・リーダーシップ】

ライバルよりも低コストで価値を創造し、低価格で提供する戦略です。

実現のための手立てとしては、「規模の経済」、「経験曲線効果」、「画期的な生産・オペレーションプロセスの確立」などが考えられます。

コスト・リーダーシップを確立できれば、「5つの競争要因」に対処する上で有利になると考えられています。

vs業界のライバル:

  • 低コストにより、低価格が実現でき、販売量で勝ることができる。同じ価格でも、低コストならば利幅において勝ることができる。

vs新規参入者:

  • 規模の経済による低コストは一朝一夕には実現不可能なため、非常に大きな参入障壁となる。

vs代替品:

  • 少なくとも代替品参入時に既存の同業ライバルよりは有利な立場を保てる。

vsサプライヤー:

  • サプライヤーの値上げ要求に対しての対応の幅が大きい。

vs顧客:

  • 顧客の値下げ要求に対して対応の幅が大きい。

【差別化】

ライバルにはない独自性の高い価値を創造し、プレミアム価格で提供します。

ただし、単純で模倣容易な表面的な独自性・差別化では持続的競争優位の確立は難しいので、他社が容易に模倣することが困難な仕組みレベルでの差別化の結果としての製品差別化を目指す必要があります。

【集中】

業界内の特定のセグメントに対象を絞って、コスト・リーダーシップ戦略もしくは差別化戦略を行います。したがって、集中戦略は、「コスト集中」と「差別化集中」のいずれかに分かれます。

3つの基本戦略と呼ばれて入るものの、実際は「コスト・リーダーシップ」か「差別化」かの選択を幅広い市場で戦うのか、特定の限られたセグメントのみで戦うのかの選択と言えます。

3つの基本戦略

3つの基本戦略

ポーターによると、この「コスト・リーダーシップ戦略」と「差別化戦略」は絶対的なトレード・オフ関係にあり、コスト・リーダーシップと差別化を同時追及すると、かえって競争優位は得られないとしています。

その理由としては、

  • 企業イメージの一貫性が失われ、評判・名声が落ちること。
  • 経営陣から現場に至るまで、社内が混乱すること。具体的には、戦略が異なれば、ビジネスプロセス、従業員の知識・スキル、管理の仕組み、優先順位など、企業内部の要件が異なり、その結果、統制と調整に混乱が生じること。

を挙げています。

こうした考えに対するアンチ・テーゼとして、W.チャン・キム&R.モノルニュらの「ブルー・オーシャン戦略」で提唱されている「バリュー・イノベーション」という概念では、差別化に重きを置きつつも低コスト化を同時に実現するための手立てが講じられています。

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5フォース分析

5フォース分析(ファイブフォース分析、5F分析、ファイブ・フォース・モデル、5つの競争要因)とは、企業の外部環境分析を行うためのフレームワークで、ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーターが考案しました。

ポーターは、企業の競争要因は5つに分類できると考え、この競争要因の条件によって企業の競争優位性は決まると主張しました。

それらの競争要因を分析し、自社にとってプラスに働く要因とマイナスに働く要因とを抽出し、それに対処する打ち手を講じることで競争優位性を築くことが可能であると考えられています。

<5フォース=5つの競争要因>

【業界内の競合プレイヤー】

業界のライバルとの競争は、最も分かり易い競争要因と言えます。強力な競合企業が多く存在すれば、それだけ過酷な競争を強いられ、収益性も低下することが考えられます。ライバル企業の比較分析を行うだけでなく、業界全体の市場としての成長性を分析することも必要です。業界競合分析の具体的な項目の例は、以下の通りです。

  • 産業の成長率
  • 付加価値の創造にかかる総費用における固定費の割合
  • 設備や人員など、生産能力の余剰度
  • 品質や信用度など、製品力の差
  • スイッチング・コスト
  • 重要度や優遇度などを踏まえた当該事業の収益性
  • 多角化の度合い
  • 企業目的
  • 撤退の難易度

【新規参入の脅威】

現在、市場に存在するプレイヤーのみでなく、新たな新規参入の可能性も分析する必要があります。これは参入障壁の問題です。参入障壁が低いと、新規参入の脅威は大きくなります。例として以下のような項目を分析し、自社の参入障壁を向上させる施策を検討する必要があります。

  • 規模の経済
  • 製品の独自性の差
  • 信用
  • スイッチング・コスト
  • 必要な投資規模
  • 流通チャネル
  • コスト優位性の程度
  • 設備以外のコスト要因による不利
  • 経験曲線のパターン
  • 原材料の入手難易度
  • 法規制

【代替品の脅威】

既存の製品を目的ベースで見た時に、同じ目的を果たす他の製品・サービスは既存製品・サービスに対する代替ポテンシャルを有しています。すでに代替手段として使われているソリューションのみでなく、代替ポテンシャルも含めて代替脅威を分析する必要があります。この代替品の出現は、既存製品の改良や既存のライバルによる脅威よりも大きな市場インパクトをもたらすケースがあり、非常に注意が必要です。代替品の脅威の分析項目として代表的なものは以下の通りです。

  • 顧客から見た価格パフォーマンス(費用対効果)
  • スイッチング・コスト
  • 顧客のニーズやウォンツの変化

【売り手(供給業者)の交渉力】

サプライヤーが相対的に大きな力を持つと、自社が不利な取引条件を強いられる可能性があります。代表的な分析項目は以下の通りです。

  • 原材料の質
  • スイッチング・コスト
  • 代替品/代替材料の有無
  • 供給元の特化・分散の度合い
  • 業界の限界コストと自社の限界コストとの差

【買い手(顧客・消費者)の交渉力】

顧客の交渉力は、昨今全体的に強まる傾向にあります。B2Bにおいては、メーカーから大型量販店へのパワーシフトが進み、小売店対消費者においては、比較サイトなどで最低価格などを調べることで、小売店への交渉力を高めています。

  • 買い手の情報量
  • 購買量の規模
  • スイッチング・コスト
  • 代替品の有無
  • 価格感度の高低
  • 品質、性能、価格など、製品力の差
  • ブランドの認知度
ファイブ・フォース・モデル

ファイブ・フォース・モデル

ただし、これらの競争分析は外部環境分析としては有用であるものの、それだけで競争優位が確立できると考えるのは早計であると考えたJ.B.バーニーは、競争優位の構築における内部環境分析の重要性を指摘し、RBV(資源ベース視点)によるVRIO(VRIO分析)というフレームワークを開発しました。

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範囲の経済

範囲の経済(Economies of scope、組み合わせの経済)とは、同一企業が異なる複数の事業を経営することが、別々の企業が独立して行うよりもコスト上有利になる現象のことを言います。これは、組み合わせによる相乗効果を指す「シナジー効果」の経済性の面を指した言葉です。

範囲の経済が生じる主な理由は、固定費の分散にあります。たとえば、関連多角化をした場合、共通のプラットフォームや生産設備を利用することでコスト上の優位性を築くことができます。また、物理的な資源の共有だけなく、無形資産の活用によるコスト優位性も考えられます。たとえば非関連多角化の場合でも、データベース・システムや蓄積された情報を共有することで新たに情報投資をするよりもコスト上の優位性を築くことができます。

具体的な組み合わせによるシナジーとして代表的なものは、以下の例を挙げることができます。

  • 研究開発のシナジー
  • 生産(設備、原材料、技術、ノウハウ)のシナジー
  • ノウハウ(生産過程以外でも)のシナジー
  • 物流(ロジスティクス)のシナジー
  • 販売(チャネル、ワンストップ販売、ブランド、広告、顧客情報)のシナジー
  • その他の情報資源のシナジー
  • 多角的視点の獲得と、それによる創造性向上と意思決定精度の向上

※最後に挙げる多角的視点は、効率化のメリットではありませんが、有益な効果です。

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SWOT分析

SWOT分析は、企業が戦略を構築するにあたって、自社の置かれている状況を網羅的に分析し、そこから新たな戦略オプションを見出すためのフレームワークです。単体で簡易的に用いられることもありますが、多くの場合は他のフレームワークを総合するフレームワークとして、いわばメタ・フレームワークの役割を果たします。SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字で、大きく分けて、内部環境分析のS(強み)とW(弱み)、外部環境分析のO(機会)とT(脅威)に分けることができます。

内部環境にあるStrengths(強み)&Weaknesses(弱み)は自社がコントロール可能な事柄であり、それに対し外部環境にあるOpportunities(機会)&Threats(脅威)は基本的に企業が自力で制御できない事柄です。もちろん、後者の場合はそれに対する打ち手を講じることで「対処」はできます。ただ、その事象そのものの「制御(コントロール)」して起きないようにすることなどは難しいと考えられます。たとえば、関税の撤廃や法的規制などは、政府に働きかけることはできてもコントロールは難しいと言えます。

SWOT分析は、大きく2つのステップに分けることができます。

まず、外部環境分析と内部環境分析として、SWOT要素をリストアップします。これが第1ステップです。

第2ステップは、これらの4要素をクロスさせて、自社の戦略オプションを導き出します。

1st ステップSWOT要素の抽出

【外部環境分析】(マクロ環境分析)

<機会>自社の事業活動の機会となりうる要素は?

<脅威>自社の事業活動の脅威となりうる要素は?

代表的な分析フレームワーク:

【内部環境分析】(ミクロ環境分析)

<強み>自社の強みは?

<弱み>自社の弱みは?

代表的な分析フレームワーク:

  • バリューチェーン分析
  • VRIO分析
  • 7S分析

※外部環境、内部環境の両分析にまたがるフレームワークとしては、3C分析などが挙げられます。VRIO分析も業界他社との比較という性質から、純粋な内部分析というよりは、内部を軸とした比較分析であり、その意味では両者にまたがるフレームワークと言えます。

SWOT分析 1st

SWOT分析 1st

2nd ステップ打ち手の検討

  • 強みを生かして機会を捉える戦略・打ち手
  • 強みを生かして脅威を回避する戦略・打ち手
  • 機会を生かして弱みを克服する戦略・打ち手
  • 弱みによって機会を取りこぼさない戦略・打ち手
  • 脅威によって弱みを肥大化させない戦略・打ち手
  • 弱みによって脅威を現実化させない戦略・打ち手
SWOT分析 2nd

SWOT分析 2nd

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